その日は三連休の中日で─────
悠理は午前中から部屋に閉じこめられていた。
昔ならテスト前の猛特訓とでも言い訳出来ただろう。
でも今は……………
「ん……ぁ………ぃやぁ!」
「何が“イヤ”なんです?こんなにも濡らしているくせに。」
彼女はあられもない格好で清四郎のモノを受け入れている。
誰にも言えない。
見られたくない。
そんな格好で。
何度も抜き差しされ、そのたび、気持ちよさに体がジンと痺れる。
男の剛直な楔が奥深くに刺さったままユラユラと揺られ、まるで一つになったような充実感を得る。
隙間無く埋められた身体と身体。
清四郎の熱が余すことなく伝わって、悠理はその熱にこそ浮かされていた。
「も………焦らすなよぉ!」
泣きながら懇願するも、清四郎は涼しく言い放つ。
「もう少し、おまえの胎内を味わいたいんです。………ほら、こうして捏ねれば、きゅうっと締め付けてくるでしょう?激しく抉るより、如実な反応が楽しめる。」
「あ………はぁ………んん!」
言葉と身体、両方に責められ、朦朧と支配される頭。
清四郎の動きに合わせ揺れてしまう腰は、自分でコントロール出来るはずもない。
「悠理………僕に動いて欲しいのなら、もっと強請りなさい。」
「あ…………せぇしろ………お願い………」
腰をくねらせ押しつけながら、悠理は涙を流す。
痛々しいほど真っ赤な頬を晒す彼女に、いつもの凛々しさは欠片も見あたらない。
そんな姿に煽られる清四郎は、限界まで怒張したモノを一度引き抜き、再び勢いよく突き入れた。
「ひぃ……ぁ!!」
激しさを増す律動、そしてその歓びにうち震える悠理。
背後から腕を掴まれ、まるで玩具のように揺らされる身体は、清四郎の欲望を受け入れる準備が整っている。
「あ……あぁ!やっ………は………げし………」
「おまえが………欲しがったんでしょう?ほら……もっと感じろ………」
更に激しさを増す動きに、意識がどこかへ飛んでいきそうになる。
悠理は唇を噛みしめると、襲い来る大きな波に備えた。
しかし清四郎はまたもや動きを停止させると、悠理の腕を引き寄せ、体ごと抱きしめる。
突如として快感が分散された悠理。
反り返った胸を露わにイヤイヤと首を振るが、清四郎は動こうとしない。
硬度を保ったまま、脈打つ胎内を味わい尽くすように、熱く息を吐く。
「中に出したいな………」
「そ、そんなのダメだ!あたいらまだ………」
「解ってますよ。」
濡れた後ろ髪越しの細いうなじを咥え、清四郎は自身を落ち着かせ、納得させる。
本当は存分に吐き出したい。
たとえ悠理が妊娠しても構わない。
むしろ好都合というものだ。
子供がいれば、二人の絆はそう簡単に切れたりしないだろう。
あのお騒がせ夫婦も跳んで喜ぶ。
何よりも、自由奔放な娘にこの手で首輪を付けることが出来るのだ。
決して逃げることの出来ない、永遠の枷を。
「あっ………せぇしろ………ビクビクしてる……」
突き刺したままの愚直が本能のまま暴れろを指令する。
しかし清四郎は寸でのところで、それを振り切った。
─────もう少し先でいい。あと少しくらいの猶予なら与えてやる。もちろん心変わりなど許すはずもないが…………
「このままずっと………繋がって居られればいいんですけどね。」
「ば、バカ言ってないで………早く動かしてくれよぉ………」
「はいはい。充分、満足させてあげますよ。」
咽び泣く悠理の肌を、清四郎の手が質感を確かめるようになぞる。
────”これ“は僕だけのものだ。これから一生かけて育ててやる。
覚悟を固める男の目が野心的に光ったけれど、それを見ることが出来ないまま、悠理は再び激しい揺さぶりに身を任せた。
「あ……っ、せぇしろ………気持ち………いい!」
快楽に溺れる恋人の背中は神々しいまでに美しい。
昔と違い、この肌を誰にも見せたくない。
誰にも、触れさせたくない。
僕だけの────体だ。
反った胸を鷲掴み、清四郎の動きが加速する。
激しく交わる二人の汗が溶け合う。
これは愛故の行為なのに、どうしてこんなにも野蛮になってしまうのか。
「ゆうりっ…………好きだ……!」
「せぇしろぉ…………すきっ………!」
恍惚とした瞬間の眩い光が、瞼の裏で同時に弾ける。
最高の時を迎え────二人は崩れ落ちるように倒れこみ、互いの唇で乱れた息を確かめ合った。
心からの愛と共に────