※悠歌4歳時の小話
「おかえり、清四郎。」
「ただいま。………おや、悠歌は寝てしまったんですね。」
「30分前までは起きてたよ。“一緒に花火するんだ”って。」
「それは悪いことをしました。帰り際の余計な電話で、社を出るのが遅くなってしまったので。」
「別に怒ってなかったぞ。明日すれば良いだけの話だし。」
「そう……ですね。」
「何?もしかして、遅くなりそうなの?」
「………ええ、午後にはロスに飛ばなくてはならないかもしれない。思ったよりも大きな商談になりそうなんでね。」
「あちゃ、残念。」
「となると、………連れて行きますか。」
「ヘ?」
「悠理、花火をたくさん準備しておいて下さい。お誂え向きに、この間お義父さんが買ったサンタモニカの別荘は、目の前がビーチだ。」
「やたっ!あたい、そこ、初めてなんだよなぁ!」
「僕は三日ほどで東京に戻る予定ですが、おまえたちはゆっくりしていけばいい。」
「うん!あんがと、清四郎!」
「こちらこそ。お陰様で仕事も上手くいきそうですよ。何せ幸運の女神が二人もついて来るんですから。」
「もぉ、上手いこと言って…………」
「今夜は前祝いといきますか?おまえも…………ほら、大きな花火を感じたいでしょう?ね………」
「………スケベ。」